「役に立たない技術が人を幸せにすると、私は知っている」。朝日新聞朝刊1面のコラム「折々のことば」で紹介された言葉だ。あるユニークなテレビ番組から生まれた。
この言葉が載ったのは一昨年9月23日、NHK・BSプレミアムのエンタメ番組「魔改造の夜」について、こうつづる。
「『実益と生産性』を無視した『大人げない』技」「『リミッターを外し』て行けるところまで行く、そんな法外な情熱からしか創造的な技術は生まれない?」
実益も生産性も、今の世の中にはあってしかるべきものと思われている。そんな同調圧力をものともしない番組とは――。
番組は2020年を皮切りに不定期で第3弾まで放送されてきた。そのたびにSNSを中心に話題を集め、放送後はトレンド入りもする人気ぶりだ。
1月29日、新作が放送されます。対決は「ペンギンちゃん大縄跳び」。ペンギンの人形をジャンプするマシンに改造し、5体同時の大縄跳びに挑戦。参戦する3チームは、金属加工のプロ集団・S陽製作所、事務機器などの巨大メーカー・Rコー、世界有数の自動車部品メーカー・Dンソー。放送はNHK・BSプレミアムで午後10時から。番組では、新たな参加チームも募集中。
番組のコンセプトは、「超一流のエンジニアたちが極限のアイデアとテクニックを競う技術開発エンタメ」。ぬいぐるみや家電を改造し、とんでもないモンスターにしてしまう。
大企業がイニシャル名で参加
奇抜なエネルギーと笑いに満ちた番組のセットは、廃虚の倉庫をイメージしている。薄暗く不気味で、対決の催しは「夜会」と呼ばれる。
たとえば、食パンはトースターから大ジャンプ。扇風機は50メートルを疾走する。クマのぬいぐるみが瓦割りをする。
視聴者からは「毎度毎度、アホな競技を思い付くものだよな」「どうしたら(こんな企画が)会議で通るのか」。奇抜なアイデアをたたえる声が相次ぐ。
とりわけすさまじかったのが、機械仕掛けの犬の人形による徒競走だ。
見た目重視でたどたどしく動…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル